鳥羽税務会計事務所は医科歯科を専門とする会計事務所です。

医療法人とは

まず『法人』とは、法律によって人として権利義務の主体となれるものを言います。権利義務の主体と言うと少し難しく聞こえるかもしれませんが、これによって財産を持ったり借金をしたりできるようになります。つまり先生と法人は別の人として扱われますので、先生のお金と法人のお金をしっかりと区分しなければなりません。
医療法人は、この法律の種類として医療法に依って設立されるものを言います。一般法人は会社法に依って設立されています。
医療法人の管轄の大本は厚生労働省の管轄ですが、都道府県（政令指定都市の場合はその政令指定都市）が設立・運営の認可をしています。

医療法人の種類

医療法人にはいくつか種類がありますが、大半は『医療法人社団』です。
よく『旧医療法人』と『新医療法人』という言葉を聞かれるかと思いますが、いずれも医療法人社団（又は医療法人財団）です。
旧医療法人と新医療法人と呼ばれる理由は、前項で触れたように、医療法人は医療法に依って設立されています。この医療法が平成１９年に改正され、改正前の医療法で設立された法人を旧医療法人、改正後の医療法で設立された法人を新医療法人と呼んでいます。
旧医療法人と新医療法人での大きな違いは、旧医療法人は『持ち分』があり、新医療法人はこの持ち分がありません。持ち分は一般法人の株式のようなものです。
旧医療法人は『出資』という形で医療法人へ資産を拠出し、その金額に応じて持ち分が決まります。この持ち分の価値が医療法人の発展に伴い増加していきます。
新医療法人は『基金』という形で医療法人へ資産を拠出しますが、その金額は医療法人へ貸し付けたのと同じ扱いになります。つまり、医療法人が発展しても基金として拠出した金額しか手元には戻ってきません。利息も付けることが出来ません。
ここまで聞くと、旧医療法人の方が良いと思われるかもしれませんが、それぞれメリット・デメリットがあり、このメリット・デメリットをしっかりと認識して医療法人成りをしていかなければ、期待していた効果が得られなくなる可能性があります。
そもそも医療法が改正されてしまっているので、これから旧医療法人を新規に設立することは出来ませんが、医療法人を勧めている方がどちらを想定して話しているのかは慎重に判断しなければなりません。

医療法人成りのメリット

前項で旧医療法人と新医療法人でそれぞれメリット・デメリットがあると書きましたが、そもそも法人にすることのメリットは医療法人も一般法人も共通しています。それは医院経営を個人から法人へ移すことが出来ることです。
例えば、新しい器械を買うために借り入れをすることになった場合、個人の場合は先生が銀行等から借りる必要があります。当然返すのは先生となります。事業の借金を背負うということは非常に重い責任を負うこととなります。個人として他の借り入れをするときにも影響しますし、万が一の時にはご家族が借金を背負うことになる場合もあります。
法人にすると借金は法人のものとなりますので、返すのも法人になります。先生は役員として法人からお給料を受け取ることとなりますので、この受け取ったお給料だけで税金や社会保険は完結しますし、手元に残ったお金で事業用に何か支払ったりすることはほとんどありません。
このように先生個人から医院経営を分離することは非常にメリットの大きなこととなります。

医療法人設立認可申請

法人を設立しようとなった時、そのやり方が非常に複雑で煩雑です。流れとしては、認可をもらい、登記すれば医療法人は設立出来ます。しかし、医療法人を設立して保険診療を開始しようする場合、診療開始予定日から逆算してスケジュールを立てていく必要があります。
医療法人の設立認可申請事態が期間が決められており、この期間内に所定の書類を提出しなければなりません。所定の用紙は都道府県等のホームページに手引きがあり、そこで参照することが出来ます。手引きには各期日や注意書き等が載っていますので、これをよく読んでから申請をしなければなりません。また、都道府県によっては事前説明会へ参加が必要なこともありますので注意が必要です。

その他の手続き

設立の許可が下りて認可証を受け取ったら法務局や保健所、税務署等の各手続きがあります。個人開業の際の役所手続きとだいたい同じです。